根管治療に欠かせない「ラバーダム防湿」について
- 一般歯科
根管治療において最も避けたいのが再感染です。治療中に唾液が根管内に入り込むだけで、再感染の原因になってしまいます。
再感染を防ぐために重要なのがラバーダム防湿ですが、聞いたことがない人も多いでしょう。
ラバーダム防湿がいったいどのようなものなのか解説します。
ラバーダム防湿とは?
ラバーダム防湿は、根管治療を成功させるためのキーポイントとなる処置です。
ラバーダムとは、歯科治療に用いるゴム製のシートのことで、口内の一部を隔離した状態で治療を進めたい場合に使用されます。
根管治療では根管内がむき出しになっているときに、そこを覆うことで再感染を防止できます。
それだけでなく、治療の精度も向上させられるのです。
また、治療中に薬剤や小さい器具などを使用することがありますが、これらが誤って口内に落ちそうになったとき、ラバーダムで喉に入るのを防止できるケースもあります。
ラバーダムによって治療個所を隔離することで作業をスムーズに進められるようになるため、全体的な治療時間の短縮にもつながるのです。
「ラバーダム防湿」という名称のとおり、ラバーダム防湿の目的の1つが湿度のコントロールです。
根管治療をはじめとする歯科治療において、防湿は重要になります。
なぜなら、口内は非常に湿度が高く、治療の際にレジンセメントを接着する際に接着力を弱めてしまうからです。
口内の湿度は90%近いといわれ、まるで梅雨や秋雨の時期の屋外のような状態にあります。
湿り気の強さから接着力が半減するといわれているため、防湿が求められるのです。
そのため、ラバーダム防湿によって湿気を低下させ、しっかりと接着できるようにしなければなりません。
さらに、現在はマイクロスコープを使用して視野を拡大しながら集中して処置を行う際、ラバーダム防湿があると術野(手術を行う際に、直接視認できる範囲のこと)が見やすくなります。
治療個所に唾液や細菌が付着しないように守り、湿気をコントロールして感染のリスクを低減するため、治療の精度や効率の向上にもつながるでしょう。
加えて、治療中に水や薬剤が飛び散った際、患者様の喉に入ってむせないようにするのにもラバーダム防湿は役立ち、治療の快適性を高めます。
このように、ラバーダム防湿は治療の質と安全性を高めるために非常に重要なプロセスとなるため、行うに越したことはありません。
主なメリットとデメリット
ラバーダム防湿を受けることで生じるメリットやデメリットには、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
まずメリットとして、唾液の侵入防止が挙げられます。
また、術野の湿潤や細菌感染、過度な乾燥を防ぐことができます。
さらに、歯肉にできた溝から出てくる滲出液や出血によって治療個所が湿ったり、細菌に感染したりすることを防止できるのです。
治療中、削った歯の欠片や除去した壊死している物質、除去した金属などの誤飲・誤嚥も防止できます。薬液が漏出したり切削器具がぶつかったりすることで口腔内の軟組織が傷つくケースも防げるのです。
嘔吐反射を助長することもなく、治療中に口を開け続けるのが大変な時には補助となります。
治療に対する不安を取り除けるうえに、患者や治療を行う歯科医師の疲労を緩和したり、歯肉などが邪魔にならないよう避けたりすることもできるのです。
ラバーダム防湿を効果的に行うためには適切な使用法を守る必要があるため、歯科医師と患者様との間できちんとコミュニケーションが行われていなくてはいけません。
一方、ラバーダム防湿にはデメリットもあるため、事前にその内容を把握しておき対処しておく必要があります。
デメリットとしてまず挙げられるのは、患者様にかかる負担です。
ラバーダム防湿による治療を受けている間は、口を開け続けなければなりません。
また、ラバーダムを固定するために金具で歯を挟む必要があるため、締め付けられるような感じが苦手な人もいます。
ラバーダム防湿を行う場合、治療中はシートで口を覆います。
このシートは主にラテックスでできているため、ラテックスアレルギーの方に使用できないのもデメリットです加えて、口を覆うために口呼吸ができなくなるのも、難点といえるでしょう。
鼻呼吸が苦手な方や、風邪や鼻炎などでしたくてもできない方は、治療中に苦しくなる可能性があります。さらに、ラバーダム防湿は日本の一般歯科の5.4%でしか使用されていない、ということもデメリットです。
実施する歯科医院の数が少ないため、なかなか見つからない可能性があります。
ようやく見つけても、歯科医院が遠方にあるために通院が困難なケースもあるでしょう。
まとめ
ラバーダム防湿は根管治療を行うとき特に重要となる処置で、治療箇所をラテックス素材のシートで覆うことで、感染防止と口腔内の湿度の低下を実現します。
防湿によって接着力を保持でき、口内で小さい器具を落とした場合の誤飲を防止できるなど、安全に治療を進めるうえでも重要です。
ただし、メリットばかりではなく、治療中口を開けたままになるため負担が大きいなどのデメリットもあるため、事前の理解が重要です。