セラミック矯正の歯を削る量はどのくらい?―科学的根拠に基づく“最小限の削合設計”とは―
- 審美歯科
セラミック矯正は、歯の形・色・並びを短期間で美しく整える審美治療です。しかし、「どのくらい歯を削るのか?」「削って神経は大丈夫なのか?」という不安を抱く方も少なくありません。
大井町フラミンゴ歯科では、これまでに1万本以上のセラミック治療を行ってきた経験をもとに、「削る量を最小限に抑え、できる限り神経を残す」という治療哲学を大切にしています。
この記事では、科学的根拠(エビデンス)を踏まえて、削る量の目安と神経を守る方法を詳しく解説します。
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セラミック矯正で削る量の目安
セラミック矯正(クラウンタイプ)の場合、削る量は平均で0.8〜1.5mm程度が標準です。
歯の表面(唇側)を約0.5〜0.8mm、歯の先端(切縁)を1.0〜1.5mm、裏側(舌側)を0.5〜1.0mmほど整えることで、審美性・機能性を両立します。
この範囲であれば多くのケースで神経(歯髄)を残せることが、補綴学的研究でも示されています。
エナメル質の厚み(約0.8〜1.0mm)を超えない範囲にコントロールすることが、歯の生理的安全域とされています。
エビデンスに基づく「安全な削合量」
複数の補綴学論文では、削る量が神経の健康にどう影響するかが検証されています。
• Shillingburg HT, et al.(Fundamentals of Fixed Prosthodontics, 4th ed.)
→「1.5mmを超える削合は歯髄温度の上昇を招き、神経炎症のリスクを高める」
• Goodacre CJ, et al.(J Prosthet Dent. 2001)
→「前歯のクラウン形成は0.8〜1.2mmの削合で十分な保持力と審美性を確保できる」
これらの研究結果からも、削る量は“少なすぎず・多すぎない”バランスが重要であり、
0.8〜1.5mm以内の削合が神経を守る最適範囲であることが科学的に裏付けられています。
大井町フラミンゴ歯科の“神経を守る”削合設計
当院では、可能な限り生活歯(神経を残した歯)でセラミック治療を行うことを基本方針としています。
これは、歯の神経を残すことで歯の寿命を延ばし、自然な感覚と色調を保つためです。
① 削合設計を0.1mm単位で管理
3Dスキャナーと顔貌分析を用いて、歯列全体のバランスをデジタル解析。
どこをどの程度削るかを0.1mm単位でシミュレーションし、エナメル質をできるだけ残します。
② 削りすぎ防止のためのシリコンガイド使用
技工士が製作した「プリパレーションガイド」を用いて、
削合の厚みを均一に保ち、象牙質への到達を最小限に抑制します。
③ 神経温存を前提とした治療選択
歯の角度や位置によっては、削らない・ほとんど削らないラミネートベニア法を選択します。
この方法では削合量を0.2〜0.5mm程度に抑えられ、ほぼ100%神経を残すことが可能です。
神経を残すメリット
神経(歯髄)を残すことで、以下のような長期的メリットが得られます。
①歯の寿命が延びる:神経を取ると歯が脆くなり、破折リスクが上昇します。
②自然な色調が保てる:生活歯は内部から光を透過し、より自然な透明感が出ます。
③温度や咬合感覚が残る:神経があることで、冷温刺激や噛む感覚が自然です。
当院では、美しさだけでなく「歯として長く機能すること」を重視し、
“見た目の美しさ+歯の生命力”の両立を目指しています。
削る量が増減する要因
削合量は一律ではなく、歯の出っ張り具合・噛み合わせの深さ・希望するデザインによって微調整します。出っ張りの強い歯はやや多めに、引っ込んだ歯は最小限で済む場合もあります。
大井町フラミンゴ歯科では、治療前にデジタル分析とモックアップを用いて、「実際にどの部分をどの程度削るのか」を可視化し、患者様にわかりやすく説明しています。
結論
セラミック矯正で削る量は、平均0.8〜1.5mm程度が科学的に安全な範囲です。
そして、その範囲内でいかに神経を残すか(生活歯のまま治療するか)が、歯の寿命と仕上がりの美しさを左右します。
大井町フラミンゴ歯科では、
• 削る量を0.1mm単位で管理
• 専門技工士と連携した削合ガイド
• 可能な限り神経を取らない“生活歯セラミック治療”
という三つの柱で、低侵襲かつ高精度の審美治療を実現しています。「短期間で美しく」だけでなく、「長く健康に美しく」。それが、大井町フラミンゴ歯科が追求する“本物のセラミック矯正”です。
参考文献
1. Goodacre CJ, et al. J Prosthet Dent. 2001;85(5):446–454.
2. Shillingburg HT, et al. Fundamentals of Fixed Prosthodontics, 4th ed. Quintessence Publishing, 2012.
3. Magne P, et al. J Esthet Restor Dent. 2007;19(6):340–350.
4. Edelhoff D, Sorensen JA. Dent Mater. 2002;18(8):567–575.